人のこころ



考え事には「馬上・枕上・厠上」が適しているといいます。
本当によく言ったものだなぁと感心すること多々。


昨日の朝4時にハタと目が覚め、そこから個展の絵のタイトルがいくつか決まりました。
これは極端な例です。
(そして「ぼちぼち安眠できない気持ちになってきたものよの…」と思いました)


馬には乗れないので、移動手段はもっぱら自転車と徒歩。
どちらかというと歩いているときの方が、深い考えに至れるようです。




ふと、人の心はからりとした単純明快な形をしていない、と思いました。

打てばずっと遠くまで響き、澄み渡る音を鳴らす心にも
そのための空のように開けた空間と、均一な硬度があり、それはとても精緻なものだろうと。

また幾重にもなるとばり、深い淵、澱むことなく回る歯車、しなやかな毛皮…
色も匂いも手触りも様々で、ずっとそのままでいられるかわからないもの。
人の心はそれぞれ、そうした色んなものだろうなぁと思います。


ただ、その奥、そのとばりや淵や構造のその奥に
私は何か水の気配を感じています。

満々とたたえられたもの、小さな器に入ったもの。

その水があるときには溢れ、流れだし
あるときには霧のようにたちこめ、
色を映し、風に揺らぎ、匂い立つ。
古くからそこにあるもの、循環していくもの。

「美しさ」というのではなくて、ただ、心の奥には
そんな水の気配を感じています。








我ながらストレートな方法だと思いますが
水を描くのは、そこを訪れることなのかもしれません。

流れ込むように、沁みわたるように。
あるいはそこに石を1つ、そっと沈ませるように。



そんなことを考えたアトリエからの帰路でした。




人のこころ」への1件のフィードバック

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