
思い入れのある絵具について語る「絵具がたり」。
今回は岩絵具・トルコ石末。
翡翠を思わせる上品な色合いに惹きつけられています。
トルコ石末(とるこせきまつ)
「絵具がたり」ではこれまで、私の好きな色や助けられる絵具を取り上げてきました。
しかしながら今回のトルコ石末は
「好きだけれどうまく使えない」「まだまだ手が届かない」、
そんな思い入れのある絵具です。
淡い光のような翠の色と
「トルコ石」という名前の持つ異国の雰囲気。
石を描き始めた頃、買い出しに行った絵具屋さんで迷わず手に取りました。
この絵具を使えば、石に感じる詩情をそのまま画面に出せると
そんな風に思ったのです。
けれども、そうそう思ったようにいかないのもこの岩絵具の特徴。
トルコ石末よりも暗い色の上にさらっとかければ
「思った以上に白っぽく浮き上がる」。
ならば白色の上に重ねれば…と思いきや
「思ったような翠の美しさが得られない」。
どうにもなかなか手ごわいのです。
さらさらしていると見せかけて、
絵具の比重が重いのか、なんだかしっかり主張してくる。


とはいえ、使うのを諦めることが出来ないこの美しい色。
メーカーさんの方で「A」「B」などと色味分けをされているのもあって
ついついA・Bそれぞれの番手を手元に置きたいな、などと思うのです。
つかめていないトルコ石末。
これをしっかり使った絵が描けたなら
また一つ違う世界をのぞけるような気がしています。
そしてそれはきっと、美しい水と石の光景なのだろうと
そんな風に思っています。
