
絵を描くとき最初に思い浮かぶのは
ふっとかすめるようなイメージと
その光景を言い表せそうな言葉。
全体がふわっと浮かぶ。
その一部分が静かに浮かぶ。
イメージと言葉、そのどちらかだけのこともあります。

学生のとき、課題制作は「植物」「動物」「風景」などテーマが決まっていました。
スケッチをしながらそのモチーフと交感して作っていく。
そんな場合には、そのものから浮かんでくる「言葉」が
私とそれを繋いで「絵」まで連れて行ってくれます。
絵画制作は
浮かんできたイメージや言葉がなぜ出てきたのか、
それを探っていく行為でもあります。
どうして惹かれるのか
どうしてそれを見たいのか
切実であればあるほどに
求めて描いた絵は、なにか深いものをたたえている。
そんな風に感じています。

描きながら、これまでのことを何とはなしに思い返します。
どうして惹かれるのか
どうしてそれを見たいのか
そのヒントはこれまでのことにあるからかもしれません。
頭の片隅で振り返りながら
色や形を考えながら
画面に、見たかった光景を作っていくとき
これは何かの答え合わせのようだなぁと感じています。
個人的な心の探索でありながら
この答え合わせはきっと、他の人の心の底にもつながっている。
私にとって描くことは、そんな1つの答え合わせでもあります。
