
アトリエから帰る道々、自分の作品のことを考えます。
次どの色でいったら良いかな、というような
現実的な段取りもありつつ
水や石、花、
これらは私の絵の中で、いったいどういうものなのだろうなぁというような
ぼんやりした物思いに浸ることもまま。
水は時間、
石はその中で佇む・留まるもの。
花は予感や記憶、ゆらぎ。
白は見えないこれからに目を細めるような眩しさ、
かき消されるようなハレーション。
はらはらと降るなにがしかもよく出てきます。
雨だったり、最近は何かの欠片だったり。
あれも記憶のようなものだと思っていますが
だとすればそれが降ってくる空間に浮かぶ月は
もしかすると「過去」なのかもしれない。
そんな風に一昨日思い至りました。
私の絵の中で月は「過去」や「過去の眼差し」といった、
なにかそういうものなのかもしれません。

そう思い至れば、
以前に描いた作品の「理解」もまた新しくなります。
しかもそれは突拍子もないところに出ていくのではなく
いっそう深いところに帰ったなぁという納得。
それなら水を渡ったり、花をゆらす風はなんだろう、
白く光る木や、そこに成るかもしれない実はなんだろうなどと
そんなことを考えてまた違う絵が出てくる。
制作の合間のこういう時間が、私はとても好きです。
