明暗顕漠
めいあんけんばく。
アカし、クロし、シロし、アオし。
光の様相を表す言葉から「赤・黒・白・青」の色名が生まれた。
『花の宇宙誌』という本の中に、この顕漠が出てきます。
白はものが顕れる、明らかになる様を
青は顕れ消えることの、その間にあるぼんやりとした様を意味したと。
また、魂魄の「魂」は青、「魄」は緑みのかかった白。
たましいの色はそうした青や青白磁のような色であると考えられていたそうです。
私たちが青色に心落ち着かされるのは
副交感神経への影響、と説明されつつも
どこかたましいに似た色だからなのかと思いたい気持ちもあり。
私にとって
白色は圧倒的な強さでかき消しさらっていくもの。
ハレーションのような、とどまることのない川の流れのような。
青色はどこまでも続く静けさや深さ。
雲一つない空のような、覗き込む水の中のような。
匂いや感情はそれ以外の色にまかせて
白と青はやはり光を表す色なのだと改めて感じます。
これまで感じてきたことと、
こうして見つけたことが織り交ざりながら
より確かなイメージとなって自分の中に根ざしていく、この感覚が好きです。

個展の絵は青と白と、それから黒とが土台になる、そんな気配です。
『花の宇宙誌』岩田 慶治,青土舎,1990