用語集 【 材料 】
こちらのページでは、絵を描く道具についてまとめています。
いわゆる「日本画」の道具、あまり見慣れないものかと思います。
色を塗るまでに、粉をこまかくすりつぶす・接着液と練り合わせるなどの工程があるため、
それに特化した道具が今なお使われています。
シンプルながらもなくてはならない道具たち、どうぞご覧ください。
◆道具
絵皿(えざら)
岩絵具や水干絵具は粉の状態で売られています。
それらを接着剤の膠液と練り合わせることで、絵具として使えるようになります。
練るために使うのは指とこの陶器の絵皿。
「とき皿」とも呼ばれます。
絵皿は大きさがいくつかあり、溶く絵具の量や用途にあったものを選びます。
滑らかな器であれば事足りるようにも思いますが
絵具の色がわかりやすい白色(日本酒のお猪口とおなじですね)、
すこし傾けた状態で絵皿を置き、筆ですくうように絵具をとれる形状、
電熱器の上に置いて温められるなどなど、
やはり完成した専門の道具であると実感させられます。
乳鉢・乳棒(にゅうばち・にゅうぼう)
水干絵具や胡粉など、しっかりとすりつぶし練り合わせなくてはならない絵具があります。
そんな時はこちらの乳棒と乳鉢。
こちらも絵皿同様に白色の陶器です。
水干絵具の中には、指ではすりつぶせない硬さのものもあるため
乳鉢と乳棒でよくよくすります。
そのあと膠を少しずつ入れて、練り合わせていきます。
岩絵具はすりつぶさなくても良いものですので、基本的に絵皿を使います。
けれども、大量に使うときには乳鉢を器にしてたくさん用意することも。
逆に、本当に少しだけ必要なときには、お猪口を使うこともあります。
薬さじ(やくさじ)
絵具を必要分すくいとるためのスプーンです。
柄の両端がさじの形状になっており、片側は多く、片側では少ない量がすくいとれます。
こちらも、専門の道具でなくても良いものではありますが
やはりほんの少し、耳かき1杯程度、といった、やや神経を使うときには便利なものです。
薬さじを使う程ではないときには、指で絵具瓶をトントンとたたいて出すこともあります。
筆・刷毛
基本的には「日本画」の筆と刷毛を使っています。
長さ、形、素材となる獣毛などさまざまな筆があります。
その他、ナイロン製のものや「毛」ではないものなどなど。
絵具をどういった量ですくい、どういった形で置いていくのか。
今も昔も「筆」えらびは出来上がりを大きく左右するものです。
ここでは標準的な「日本画」の筆・刷毛をご紹介します。
平筆
台形状で平たい形状。
均等に塗りやすく、立てて使えば細い描画も。
また、半分水を含み、もう半分に絵具をふくませることでぼかしもできます。
彩色筆(さいしきふで)
やや細長く、絵具を含むと雫型のようになる彩色筆。
こちらは絵具をたっぷりとふくむことができる筆です。
平筆とは違う表情をつけながら、描画することができます。
隈取筆(くまどりふで)
毛足の短い含みの良い筆です。
一見、彩色筆のようにも見えますが、比べてみると独特な形状がわかります(下記画像)。
きかない毛先、よく水を含むボリュームある形状は、痕を残さずやわらかくぼかすためのもの。
毛先が短くなった筆たちをぼかし筆にすることもありますが、それように作られた隈取筆はやわらかさが違います。
面相筆(めんそうふで)
面相、顔のパーツである目や鼻といった繊細な描画にてきした筆です。
しっかりとした細い線を描くのは、熟練の技術が必要ですが
筆を変えるだけでもずいぶんと違うことも。
そんな「筆えらび」の大切さを最も実感しやすい面相筆。
毛先は紙や絵具の摩擦ですりへっていくため、ここぞという時のために新品のストックは必須です。
その他の筆
その他、たたき筆や染色の小さなすり刷毛、山馬筆など。
これらは硬い毛で作られています。
乾いた感じの線や、小さな点をうつような描写など、やわらかな筆では出しにくい表情をつけるときに使います。
その他、筆ではなくラップやアルミホイルや紙など、表現によっては「毛筆でない筆」も。
刷毛
広い面積を塗っていける絵刷毛。
筆と同様、刷毛にも素材・つくりによってちがいがあります。
箔ばさみ
その名前のとおり、箔をはさむための道具です。
竹で作られているため箔がまとわりつかず、コントロールしやすいもの。
先がきくかどうか、はさみ合わせた時に歪みがないかなど、確認してから使うのがおすすめです。
岩絵具や膠といった、材料の紹介は下記のページでご覧いただけます。
用語集【材料】
社寺修復の仕事に勤めていた経験から、少しマニアックな知識も持ち合わせております。
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