ふりゆくものは



先日、はじめて奈良県吉野山へ行ってきました。

「一目千本」と言われるほどの光景見たさに、また、ソメイヨシノではないヤマザクラを味わいたくて。



事前に下調べをすると、物見遊山でふらりと訪れるにはなかなか厳しい人出とのこと。
また朝の光の中で見る景色がとても良いとのこと。


午前3時に起き、まだ暗い中、いざ吉野山を目指しました。


朝靄の中で見たヤマザクラはとても可憐で
驚いたのがその花弁の小ささです。


シロヤマザクラの花弁は小指の先ほど。


見慣れているソメイヨシノに比べるとかなりささやかなつくりで
だからこそ、雪のようにはらはらと舞い散るのだとわかりました。






花さそふ 嵐の庭の 雪ならで ふりゆくものは わが身なりけり

西園寺公経





春、花が散る様を見るといつも思い出すこの和歌の
陶然と諦観したような視線が好きです。


降りゆくもの
触りゆくもの
古りゆくもの
経りゆくもの


はらはらと舞い散るその光景に、何か大きな時が流れているような気持ちになり
立ち尽くしてほぉ…と見上げる、そんな春です。











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