【終了のお知らせと御礼】

神戸にて開催しておりました絵画展「花たずさえて」、
昨日つつがなく終了することができました。

お立ち寄りいただきました皆様、
お忙しい中で足を運んでくださった皆様、
ずっと気にかけてくださった皆様、
本当にありがとうございます。


地元・京都を離れて開いた今回の会場では
思っていた以上に新しい出会いとつながりをいただけました。
また、これまでの方々とも何か新しい心持ちでお話ができたような、
そんな穏やかで清々しい場所になったと心から感じています。


「花たずさえて」の展示タイトルに込めた想いの中には
作品をたずさえて私から訪ねていく、これからの活動の1歩目という気持ちがあります。
作品をご覧頂いている姿、会話の1つ1つ、
それらを私の中にも作品の中にも留めながら
次の会場にもたずさえていけることを心から嬉しく思います。


いつも温かく見守ってくださっていること
会場に一歩足を踏み入れてくださったこと
作品との対話の中に、私も招いて下さったこと。

これまでの私にとっても
これからの私にとっても
得難く、とてもかけがえのないものです。

また新しい景色の前でお会いできますのを楽しみに。

本当にありがとうございました。


2025.9.19 高井みいる

【作品紹介追加のお知らせ】

終了しました絵画展「花たずさえて」、
頂戴しました経験と結果の御礼としまして追加で作品をUPしています。
会期中に展示替えを行ったものの中から2作品。
あらためてお楽しみ頂けますと幸いです。


2025.9.19 高井みいる







髙井みいる 絵画展 花たずさえて






以下、出品目録と、紹介文つきの作品画像をご覧いただけます。


「花たずさえて」

“はな”の語源は「端」とも。
先端、最初、しらせやなごり、兆し。
そして花弁を開くその姿に「放つ」という言葉も思い起こします。

どこからともなく香り、灯るように咲く。
ひとときの光のような気配。

そんな花たちを描こうとしたとき
水に浮かび、風に揺れ、舟や器に抱かれる景色が浮かびました。

ここではないどこかへ心を運ぶもの、
過去や未来に触れる時のよすが。

流れる時間の中で、その時々の想いを抱えて生きることは
ささやかな一瞬の花をたずさえて
ゆっくりと歩いていくようなものかもしれません。

心に浮かべた花の静かな景色たちを
どうぞゆったりとお楽しみください。

髙井みいる


出品作品

※会期中に展示替えしました関係で、最終29点となっております(2025.9.19)

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作品紹介


『花たずさえて』

赤色の中に、金色の草と花がなびく。
そんな景色が浮かびました。

描いていると、その赤い空間は空のようにも水のようにも見えてきます。
天と地に分かれている空と水を
風に乗って、あるいは水に浮かんで花が行き交う。

そこに何とはない「光」を感じ
たゆたうような想いでこの景色を眺めています。


『こぼれふる』

ほの明るく光る樹を描いた作品です。

黒い影絵のような枝の向こうから光はこぼれ、
花弁となってはらはらと降り落ちていく。

以前より、暗闇に灯るような「樹」のイメージがありました。
それは幼いころに読んだ『モチモチの木』であったり、『花ざかりの森』という言葉から思い浮かべるどこか遠い情景であったり。
こうした樹々が静かに並ぶ光景を、いつか描いてみたいと思っています。

これまで「月」や「川」を描いてきた墨の揉み紙。
茶色の墨に重ねた“インド藍”の深い色。
さまざまな白と黒が入り混じる絵肌を楽しみながら描いた一作です。




『水の地図』

海図に「スティックチャート」と呼ばれるものがあります。
枝に貝殻や小石をくくりつけて、潮流や島々を表したもの。

その不思議な海図を見たときに
なんて美しいしるべだろう、と思いました。

誘われるように描いた「水の地図」は
花と石が浮かび、沈み、その波紋が「航路」となっています。

和紙にしみ込ませた水色の絵具。
その上へ遊ばせるように描いた石と花。
その並びのリズムが楽しい作品です。


『しらつゆに』

白い月の下で
赤・青・黄色・えんじ色の花が咲いています。
月からは白い粒がはらはらとこぼれ
花の下の石と、かすかに流れる水へふりそそぎます。

これもまた中原中也の『一つのメルヘン』のような
明るく、どこか遠い景色。
その明るさの中で水や石や月や花が響きあうことに
いつも心惹かれる私がいます。

背景の着彩はどことなく「露」を感じさせる絵肌。
鮮やかな色と淡い色の対比、白色の繊細さ。
絵本の1ページのような詩情をもった作品です。


『白夜の舟』 2025

月あかりをうける帆と
透き通った風、水に浮かぶ舟。
その中には白い石。

「白夜」、「白河夜船」、中原中也の『湖上』といった言葉と一緒に出てきた作品です。
この舟がどこへ行くのか、運ぶ石や浮かぶ花がどういったものなのか、不思議に思いながら描きました。

「眠り」や「夢」の風景なのかもしれません。

和紙の質感と、淡く重なるパステル調の色が美しい作品。
ところどころ見られる、浅いようでいてふっと暗い色は「夢の影」のような深さを感じさせてくれます。


『光をいける』

白い石と澄んだ水の中に置かれたガラスの器。
そこには赤や黄色の花々がいけられています。

花に感じる「光」のイメージを
花びらの隙間からのぞく瞬きと、
透き通るような石と水の輝きに託しました。

あらかじめ絵具をしみ込ませた和紙。
その色を活かしながら薄塗りで仕上げた部分には、こぼれるような光を感じます。

『光をいける』の題名通り、眩しさを感じる一作です。


『花ひろい 花二つ』

地面にこぼれ落ちた花。
落ちてなお美しいそのたたずまいに惹かれることがあります。

そうした光景を、小さな作品にできないかと描いた『花ひろい』のシリーズ。
こちらの作品は秋・冬を思わせる温かな土の色にこだわりました。

粗い岩絵具の赤は鮮やかに輝き、花芯はほのかに光るような色。
岩絵具の風合いを楽しんでいただける作品です。


『浮き花』

水に浮かぶ花々を描いた連作です。

小さな葉に絵具を塗って押し当てる。
そうして形作った花は「本物の植物」のようでありながら、どこにも存在しない、絵の中だけの花。

「押し花」や「浮き舟」「うすらひ」という言葉をイメージしながら、儚げで繊細な花たちの景色と波紋を描きました。
複数の白と和紙の色、鮮やかな色のコントラストが美しいシリーズです。


『花咲く日 アジサイ』

スケッチしたアジサイをもとに描いた作品です。

陽をうける葉、その葉に出来た深い影をうける葉。
1つのものの中にある明暗の形の美しさが印象的でした。

そんな影の形に惹かれて絵にした今作。
和紙の色、墨の色、胡粉の白色を味わいながら
静かなたたずまいを表現しています。

神戸の「市の花」アジサイに寄せて。

個展タイトル『花たずさえて』の名のとおり
この花をたずさえて開催できたことを、とても嬉しく感じています。

『真昼野』

河野裕子さんの短歌、
“白萩に白萩こぼるるひるつかた遠くまで陽が照り追憶に似る”より着想を得て描いた作品です。

「遠く陽が照る光景」、それは私の中では小石ばかりの川原であったり、こうした草原であったり。
当初「白萩」をもう少し表に出して描こうと思っていましたが、気が付けば光と風が混じる景色になりました。

和紙にあらかじめ滲ませた鮮やかなオレンジ・黄色・緑がうっすらとのぞき、遠く差し込む光に用いた方解末の透明感が美しい作品です。

『七種の唄』

秋の七草の覚え方「おすきなふくは」。
おみなえし・すすき・ききょう・なでしこ・ふじばかま・くず・はぎ。

秋の美しい光景として昔から親しまれてきた画題、秋の七草を描いた作品です。
どう描けるのか考えた時に浮かんだのは、色と色が響くような景色でした。
それぞれの色を持ちながら、風や夜のとばりのなかで呼び合う七種の花々。

粗い岩絵具の美しさを活かして、同系色ではない色と色の響きを描けた一作です。

高井みいる絵画展「花たずさえて」、
最後までご覧いただきましてありがとうございます。


新しい作品に取り組むたびに
「流れ」や「光」を見ようとしている自分を感じます。

花々をスケッチしている時にも
ただ手を動かして線や形を作っている時にも
そんな自分の中から何かが出てきて
手に、指に、筆に、ペンに伝わって画面に乗っていく。

これまでに感じたもの・これから先に出会うもの・それを「今」描くこと。
いつもその「流れ」に想いを馳せています。


時間の流れと、その中にある「今」は
誰にでも何にでもあるものだからこそ
「どこにそれがあるのだろう」と、描く景色の中に探してしまうのかもしれません。


そんな「流れ」や「光」は
変わらざるをえない私たちの心に、きっと触れるものだと思っています。

時が経つにつれてかすかになるこれまでのこと。
そのささやかな光と手をたずさえながら
見えないものを見つめるような作品を、
これから先も描いていきたいと思っています。















トアギャラリー様のHPでもオンライン展示会を開催されています ▽▽


トアギャラリー 高井みいる絵画展


全作品の画像および、会場の展示風景がご覧いただけます。
あわせてお楽しみください。